悼む気持ちの強さ=お仏壇の豪華さ?
お盆が近づいてきました。
今から20年ほど前、主人の母が60歳という若さで亡くなりました。
家を建てた当初、まさか自分たちの家にお仏壇を置く日が来るとは全く想像していませんでした。
義母が亡くなり、お仏壇を置くことが決まったときも、「スペースがないから小さめのものをどこかにちょこんと置くのかな」と、なんとなく軽く考えていたのです。
義母は9人兄弟の下から3番目。兄弟の中で一番若くして亡くなりました。
そのため、兄弟たちの悲しみは深く、夫も憔悴していました。
葬儀が終わり、「そろそろ仏壇を買おうか」と思っていたころ、親戚から仏具店を指定されました。
そこは、モダンでコンパクトなお仏壇は置いていない、昔ながらの立派なお仏壇が並ぶお店でした。
夫や親戚たちが選ぶのは、どれも豪華で大きなお仏壇ばかり。
「お仏壇の大きさ=義母を悼む気持ち」の表れのように思いました。
亡くなった義母に、何かしてあげたい気持ちを、お仏壇の豪華さに込めていたのだと思います。
結局、スペースの都合もあり、小さめのサイズを選んでいただきました。
新盆の時も、夫は「とにかく豪華にしてあげたい」と、一般的な仏具をきらびやかに飾っていました。
義母がいなくなった悲しみ、痛み、寂しさと向き合いながら、「何かしてあげたい」という思いを整理していくために、あの飾りつけも必要だったのだと思います。
当時の我が家は、お仏壇まわりもごちゃごちゃしていて、でもそれが「私たちらしい風景」でした。

仏間という考え方
以前、お客様の住まいに関する相談を受けたときのことです。
その方は、家の一番奥に3畳ほどの仏間のあるお宅にお住まいで、大きくて立派なお仏壇がありました。
その隣には二間続きの部屋があり、家族6人が暮らしていました。
もともとはおじい様が建てた家で、年月とともに家族も物も増えていったそうです。
私が伺ったときには、モノを踏まないと歩けないくらい床がもので埋まっていました。
新築のプランをご提案する中で、新しいお家では玄関からリビングに入ってすぐの場所にお仏壇スペースを作ることにしました。
旦那さまが急逝してまだ間もない時期だったため、奥さまやお子さんたちが「行ってきます」「ただいま」と声をかけられる場所にしたかったのです。
また、部屋の奥ではなく、リビング・キッチンの手前に設けたことで、お盆やお彼岸の来客対応もスムーズにできるようになりました。(部屋に馴染むよう大工さんに造作で作ってもらいました)

ご先祖様と、今を生きる私たち
ご先祖様を大切にすることは、もちろん大事なことです。
でも、それと同じくらい「今を生きる人」の暮らしも、かけがえのないものです。
ご先祖様への感謝や祈りを持ちながらも、日々の生活が犠牲にならないように。
時代や暮らしの変化に合わせて、お仏壇との付き合い方も柔軟に考えていけたらと思います。
整理と工夫で、わが家らしいお仏壇に
悲しみの痛みが少し和らいできた数年後、我が家のお仏壇まわりを整理しはじめました。
木材でコの字型のお仏壇置き台を作ってもらい、それを二重にして、お盆のときには引き出してテーブルとして使えるようにしました。
お盆の準備や片づけが、とても楽になりました。
盆提灯もコンセント不要の電池式に。従来のタイプは手前に出てきて扉が閉められず、お盆期間中ずっと不便だったのです。
仏花はプリザーブドフラワーに変え、「枯れてきたから買いに行かなくちゃ」というプレッシャーからも解放されました。
もちろん、季節のお花が目に留まり素敵♪と感じたときには、気持ちよく飾っています。
お線香もLED式のものに変えました。「お線香が燃え切っていないから、まだ外出できない・・・」がなくなりました。
亡くなった人を思いながらも、生きている人の生活を大切にできるようになってきました。

17回忌を終えた今、そしてこれから
17回忌を終えた最近のお盆。
仏花のそばにはポトス🌿を置き、明るく優しい雰囲気にしています。
遺影も葬儀の時のものから、孫を抱いて笑っている写真に変えました。
義母らしい明るさが伝わってきて、見るたびにホッとします。
亡くなった愛犬の写真もそばに。隣には「肩ずんムーミン」がちょこんと座っています。
お鈴置きは、私が刺繍して作ったもの。座布団も足腰に優しい小さなスツールに変えました。
どこかおしゃれで、家になじんだ今のお仏壇。
モダンな雰囲気が好きだった義母も、きっと喜んでくれているような気がします。

お仏壇の風景は「心」でつくるもの
お仏壇のあり方は、その土地や宗派、家族の思いなどによって本当にさまざまです。
「自分だけの好みや使いやすさだけで決められない」――それが、お仏壇のむずかしさでもあり、豊かさでもあると感じます。
仏間を設けてお祀りする方、お仏壇を持たずお位牌だけを置く方、あるいは何も持たないという選択をする方もいます。
けれど大切なのは「気持ち」だと思います。
ご先祖様を思い、敬う心さえあれば、その時の心に従ってお仏壇の風景をつくっても、ご先祖様は決して怒らない。
むしろ、今を生きる私たちが幸せに暮らしていることを、一番望んでくれているのではないでしょうか。
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